これから理学療法士になるのはやめといた方がいいのかなぁ…
普段何気なくX(旧Twitter)でpostを見ていると、『理学療法士はやめとけ』といったを見かけることがあります。
そのような意見もありながら、せっかく取得した理学療法士という資格なので続ける方も大半ではないでしょうか?
果たして、『理学療法士はやめとけ』という言葉は真実なのか、あるいは誤解なのか。
本記事でわかること
- 「理学療法士 やめとけ」と言われる言葉の背景
- 理学療法士として働く上で直面する課題とは?
- 「理学療法士やめとけ」と言われても知っっておくべき事実
ここでは、理学療法士として働く現職の声を元に、あなたへ本当のことをお伝えします。
理学療法士という職種が抱える困難や課題など、それぞれ解説します。
一方で、理学療法士として働く上での患者様が良くなった時の喜びや、やりがいなど充実感は非常に高いものです。
真剣に患者様と向き合い、身体機能が回復した時の喜びは他に代え難いものです。
理学療法士として働くことの真実を知り、自身のキャリアを形成する第一歩となるように本記事を参考にしていただければと思います。
OTまこまる(@OT_MAKO)
●転職回数:2回
●病院や老健、デイサービスに従事した経験あり
●学会発表、勉強会への参加したことをもとに発信
『理学療法士やめとけ!』という言葉の背景
「理学療法士やめとけ」とは一見、深刻な注意喚起しているように思えます。
この言葉の背景は何でしょうか。
理学療法士として働く上で、実際の働き方や直面する現状を踏まえた上で解説しようと思います。
理学療法士という職業の実態
理学療法士は何らかの理由で、身体機能の低下をもたらした患者様の生活を取り戻すためにリハビリテーションを提供する素晴らしい職業です。
しかし、直面する現実は厳しく、日々の過酷な労働に追い詰められる方も少なくありません。
例として、以下のようなものが挙げられます。
- 重症度の高い患者様のリハビリテーション
- 勤務時間外の自己研鑽(学会発表や講習会への参加)
- キャリアアップの限界
理学療法士はとして働く上で上記したような問題が浮上します。
これらは全ての理学療法士が該当するわけではありません。
しかし、こういった問題を抱えながら働いている方も多いのではないでしょうか?
理学療法士が直面する現状
昨今の医療現場では、スタッフ不足や過酷な労働条件が問題となっています。
理学療法士も例外ではありません。
職場内でのスタッフ不足は、患者様にとって関係ありません。
そのため職場によって1日の取得単位数が決められているため、それを達成するために毎日キツキツでリハビリを提供する必要があります。
時に昼休み無しや残業をして患者様の介入を行わなければいけないこともあります。
労働環境の改善に向けて処遇改善もなされていますが、なかなか現状を打破できないところもあります。
『理学療法士やめとけ!』と言われる背景
労働環境の改善が成されているところと成されてないところの差は大きいのが現状です。
このように職場によって働き方が見直されてないところでは、『理学療法士やめとけ!』という意見が出ていることが言えます。
ただ、注意しておきますが全体がこう言った状況ではありません。
理学療法士の職業が問題ではなく、その職場環境や労働条件が問題であるということを認識しなければなりません。
理学療法士が語る職場環境
理学療法士の職場環境は、労働環境の改善が成されてないところでは以下のようなことがあります。
- スタッフ不足によるハードな労働時間
- 有給が自由に取れない
- 技術を高めるための休日出勤
これらは、実際に自分の意志で患者様のために動いている方もいます。
しかし、プライベートの時間を割いてまで、するべきことでしょうか?
仕事のことは業務の時間内に解決したいものです。
『理学療法士やめとけ!』の声の理由の一部
『理学療法士やめとけ!』という声の背後には、前述の労働環境のほかにも、報酬面での不満やキャリアの限界、患者やその家族からのプレッシャー、人間関係の問題などが考えられます。
特に、給与が労働量に見合わないという声は大きく『やりがい搾取』という言葉も聞いたことがあります。
物理的な疲労以上に精神的なストレスを感じさせています。
理学療法士として働く上で直面する問題とは
理学療法士が直面する問題とは、どのようなものか具体的に見ていくと様々なものがあります。
それらを解決するためには、理学療法士本人だけでなく、環境全体の改善が求められます。
過酷な労働環境
長時間労働や不規則なシフト、短い休憩時間などが理学療法士たちを過酷な労働環境へと追い込む原因の一つです。
しかし、それらだけでなく患者さんへのリハビリ施術は体力を要し、高齢者とのコミュニケーションも精神力を必要とするため、一日の労働を終えても疲労感が残ることがあります。
実際に私は休日も寝て過ごし、いつの間にか終わってることがほとんどでした。
不十分な報酬
身体の疲労以上に大きな問題となっているのが、報酬面です。
専門知識と技術を駆使して、社会から求められる大切な役割を果たしているにもかかわらず、それが給与には反映されていません。
そのため、理学療法士の中には経済的な理由から転職や退職を決断する者もいます。
キャリアの限界
一部の理学療法士たちからはキャリアの問題に対する声が上がっています。
現在の体制では、ある程度経験を積んだ後の昇進や専門性を追求するための道が十分に確立されていません。
そのため、自己成長やキャリアアップの機会に乏しいと感じている理学療法士も少なくありません。
原因として、理学療法士の昇進はリハビリテーション科の中だけに限られているため、病院や施設で与えられる役職は限られています。
『勉強しても、どうせ昇進できないなら…』と考える方もいるようです。
患者と家族からのプレッシャー
理学療法士が直接関わる患者様やその家族からのプレッシャーも、悩みの源です。
理学療法士は患者様のためにリハビリテーションを進めますが、その結果に対する期待値や急な進歩を求める圧力を感じることがあります。
特に1〜3年目の頃は求められる結果に対して、成果を出すことは難しいものです。
そのため上司にアドバイスをもらいながら進めていくことになりますが、それでも難しいことには変わりありません。
その結果、業務に対してストレスを感じる理学療法士もいます。
資格と能力の不一致
理学療法士という資格を取ったけど、「ちゃんと患者様の治療ができない」という悩みを抱える方は少なくありません。
目の前の対象者のために必死に頑張るけど、全然上手くいかないことは1〜3年目でよくあることです。
そのため、業務外でも自己研鑽して、自分の貯金を崩して研修会に行かなければいけません。
毎月、研修会に参加して貯金は全然ありませんでした・・・
職場の人間関係問題
友好的な職場環境であれば質の高いリハビリを提供するために積極的に行動できます。
しかし理学療法士にとっても人間関係の問題も一つの悩み事して挙げられます。
例えば、自分は治療ができているからといって「好き放題しても良い」と考える方もいるようです。
ですが、そう言った方が一人でも職場にいると円滑に仕事を進めることが難しくなります。
特に職員間の関係が悪化すると、従事者のモチベーションが下がり、業務に集中できないという問題が生じやすいのです。
「理学療法士をやめとけ」と言われても知っておくべき事実
一見すると、理学療法士は厳しい環境にあるように思えます。
しかし、それだけであきらめてしまうのは少し早いかもしれません。
理学療法士には確かなやりがいや可能性があり、悩みや問題を克服していくための方法も存在します。
理学療法士の必要性
高齢化社会の進んでいくことに伴い、介護やリハビリテーションの需要はこれからも増え続けます。
そのため、理学療法士の仕事はこれからもなくなりません。
理学療法士は専門的な知識とスキルを活かし、何らかの障害を抱えた方の生活の質を向上させる役割を果たしていくことは間違いありません。
理学療法士のやりがい
多くの理学療法士が報告する働きがいは、患者さんの回復を実際に目の当たりにすることです。
患者さんが自分の力で動き出す瞬間を見ると、過酷な労働環境にも耐えられる喜びや達成感を感じると言います。
理学療法士の可能性
理学療法士という仕事は、今後さらに職域の拡大等が考えられます。
新たなリハビリ技術の開発や、経験を活かした研究職への道、海外での活動など、挑戦するフィールドは多岐にわたります。
また、理学療法士の経験や知識は、介護事業や福祉機器の開発など、他分野への転身にも役立ちます。
改善を求める動き
理学療法士の労働環境改善を求める声は、確かに存在しています。
それに対する対策や改善策も進行中です。
例えば令和6年度介護報酬改定要望では以下のようなものがあります。
上では、役職は増えることが少ないことに対して平均給与が低いことが言われています。
その結果、勤続年数は低く優秀な人材が他の分野に流出してしまうため、給与水準の引き上げが課題と考えられているようです。
給与が上がりにくいことは以前から言われているので、これを機会に上がることを願っています。
理学療法士を目指すなら知っておくべきこと
職業選択には自分や理学療法士という仕事の将来を考えて行動することが必要です。
理学療法士の現状を理解した上で、それでも人と深く関わり、その生活の質を改善したいと思うならば、理学療法士という道を選ぶ価値があります。
その場合でも、専門的な知識や技術を習得するだけでなく、自分を保つための方法や、労働環境改善に向けたアクションを学ぶことが重要になると考えます。
理学療法士にとって求められるスキルとは
理学療法士に必要なスキルは、専門的な知識や技術だけではありません。
コミュニケーション力が求められます。患者さんもその家族も、マンツーマンでのリハビリ期間中は理学療法士に心を開くことが多く、十分なコミュニケーション力がなければ、患者さんの心や身体のケアを適切に行えません。
また、自分自身のストレスをコントロールする能力も必要です。
理学療法士への道を選ぶための視点
厳しい状況に直面している理学療法士ですが、その中には確かなやりがいを見いだし、現状を乗り越えるために動いている方もいます。
それを可能にするためには、自己分析や情報収集、適切な判断基準作りが必要です。
自己分析の重要性
自己分析は、自分がどのような仕事に向いているか、何を達成したいのかを明確にするための重要なプロセスです。
理学療法士としての仕事に満足するためには、患者さんに対する情熱やコミュニケーション能力、リーダーシップなどが求められます。
自分自身がこれらのスキルを持つかどうか自己分析を通じて把握することは重要です。
しっかり自分の良いところや悪いところを理解しておくことで、自分がどういった立ち振る舞いを行うべきかが見えてきます。
少しの時間でいいですので、ぜひやってみてください。
情報収集の方法
情報収集は、理学療法士という職業が合っているかどうかを判断する上で重要です。
現役の理学療法士や関連団体に話を聞く、インターネットや書籍で情報を得るなど、さまざまなチャンネルを利用して情報を収集しましょう。
多角的に情報を得ることで、より現実的な把握が可能となります。
適切な判断基準
適切な判断基準を設定することで、自己分析と情報収集の結果を元に、理学療法士としての道に進むべきかどうかを判断できます。
自分が理学療法士に必要なスキルや性格を持っているか、具体的な労働環境や給与、キャリアパスの見通しを考慮し、自分自身が納得のいく判断を下せる基準を作ることが重要です。
キャリア形成のポイント
理学療法士としてのキャリア形成を考える際には、自分が目指すべき方向を明確にし、それに向かって具体的なアクションプランを立てることがポイントです。
また、自分だけでなく、専門家や先輩理学療法士からフィードバックを得ながら進むことが成功のカギとなります。
対策と支援体制
理学療法士として働く以上、避けては通れない過酷な労働環境や報酬面での問題への対策を考えることも重要です。
また、専門的なスキルや知識を活かして最善を尽くすために、組織全体での支援体制の整備が必要です。
理学療法士として立ち向かう姿勢
困難な状況に立ち向かうためには、ひたむきな姿勢が必要となります。
理学療法士としての誇りと使命感を忘れずに、患者さんとの信頼関係を築いていきましょう。
そして、自己啓発を怠らず、業界全体の改善に向けて積極的に声を上げることが重要です。
『理学療法士やめとけ!』の真相と対抗策の全貌
以上が「理学療法士やめとけ」という言葉の背後にある真実と、それに立ち向かうための対策です。
理学療法士は様々な問題に直面していますが、それにもかかわらず、患者さんの生活の質を改善し、社会に貢献する重要な役割を担っています。
その過酷さを理解し、適切な対策を講じて、理学療法士としてのブレない信念と使命感を持つことが求められています。
まとめ
「理学療法士やめとけ!」という声に対して真摯に向き合い、その裏側にある本音や理由を理学療法士からPTという職業が抱える問題点について
それは高い専門性を要求される一方での報酬の見合わなさ、激務による過労、面と向かう患者さんとのコミュニケーションに伴う精神的な負担など多岐にわたります。
しかし、その困難さに立ち向かってなおPTとして働き続ける人々がいるのは何故でしょうか。
それは、自分の専門性を活かして人々の健康や生活の質を向上させる喜びと達成感があるからです。
すなわち、理学療法士という仕事は、困難と喜びが密接に結びついているものなのです。
この記事を読んだ若者がPTという職業を選ぶ際には、その両面性を理解した上で選択して欲しいと思います。
そして、理学療法士が抱える現状と問題を認識した上で、その解決や改善に向けて行動することが求められています。
私たち一人ひとりがその問題を無視せず関わっていくことで、理学療法士という職業の未来は必ず明るくなるでしょう。