
BrsⅡ〜Ⅲの患者様への介入で悩んでます…

アクリルコーンが効果的だよ!

コーンで何ができるんですか?

誘導次第で上肢・手指の動きを引き出せるんだ!
上肢機能がBrsⅡ〜Ⅲの患者様への介入で、「もう少し動きを引き出したい」と感じたことはありませんか?
自動運動は難しいけれど、完全な他動運動でもない。そんな時期の患者様には、適切な誘導が重要になります。
そこで今回は、アクリルコーンを使った上肢機能へのアプローチ方法を解説します。
結論:アクリルコーンを使い、セラピストの最小限の誘導で患者様の主体的な動きを引き出すことで、上肢・手指の分離運動を促進できる。
この方法は、患者様の残存機能を最大限に活用しながら、段階的に機能向上を図ることができます。
なぜ、アクリルコーンが効果的なのか?

なぜコーンなんですか?

手にフィットしてかつ視覚的にわかりやすい単純課題だからだよ!
アクリルコーンを使用する理由は以下の4つです。
カラフルで視覚的にわかりやすい
アクリルコーンは鮮やかな色で作られているため、患者様にとって目標が明確になります。
「赤いコーンを持ってください」「緑のコーンに重ねてみましょう」など、視覚的な手がかりを使った指示が可能です。
これにより、言語理解が難しい方でも課題を理解しやすくなります。
軽くて扱いやすい
アクリルコーンは非常に軽量で、BrsⅡ〜Ⅲの筋力でも操作可能です。
重さによる負担が少ないため、動きの質に集中できます。
また、落としても音が小さく、周囲を気にせず練習できます。
積み重ねることで達成感を得やすい
コーンを積み重ねる動作は、成功・失敗が明確です。
「できた!」という達成感が、次への意欲につながります。
高さを変えることで、難易度調整も簡単に行えます。
誘導しやすい形状
円錐形の形状は、セラピストが把持誘導しやすい特徴があります。
患者様の手とセラピストの手が干渉しにくく、スムーズな誘導が可能です。
対象となる患者様

どんな方が対象ですか?

BrsⅡ〜Ⅲの方がベストだよ!
主な対象者
- Brs:Ⅱ〜Ⅲ
- 共同運動パターンから分離運動への移行期
- 自動運動は困難だが、誘導があれば動かせる方
- 上肢・手の動きをもう少し引き出したい時期
こんな方には向きません
- BrsⅣ以上で自動運動が十分可能な方(簡単すぎるため)
- BrsⅠで随意性が全くない方
- 重度の感覚障害で視覚情報も活用できない方

BrsⅣ以上の方には、実用性の高い課題の方が適しています。

アクリルコーンは「少し誘導が必要な時期」に最適なんです。
アクリルコーンを使った介入方法

具体的にはどう使うの?

誘導箇所を使い分けるんだ!

誘導箇所を変えるだけで難易度の調整にもなりますよ!
基本の介入姿勢
- 座位で実施(体幹の安定性を確保)
- 机の高さは肘関節90°屈曲位で前腕が乗る程度
- コーンの配置は患者様の可動域内に設定
3つの誘導パターン
1. 肘+手の誘導
【適応】
- アクリルコーンのリーチに誘導を要する方
【方法】
- セラピストは患者様の肘関節と手部を尺側から軽く把持
- 上肢の一連の動きを邪魔しないようにアシスト
- コーンに近づいたら、把握動作を促す
(自分で把持が難しい場合は、テノデーシスを利用します)
【ポイント】
- 誘導は最小限の力で行う
- 患者様の動きを邪魔しないことが重要
- 「私が動かす」のではなく「一緒に動く」イメージ
2. 手のみの誘導
【適応】
- 肩・肘の動きは出るが、手指のコントロールが難しい方
- リーチは可能だが把握が困難な方
【方法】
- セラピストは手関節〜手指のみを支持
- 患者様の肩・肘の動きに合わせて手を誘導
- コーンの把握・離す動作をサポート
【ポイント】
- 肩・肘の動きを妨げない
- 把握のタイミングを患者様に合わせる
3. 肘のみの誘導(最小介助)
【適応】
- 手指機能は比較的保たれている方
- 上肢のリーチに誘導が必要な方
【方法】
- セラピストは肘関節のみを支持
- 肘の屈伸をアシストし、適切な位置へ誘導
- 手指の動きは患者様に任せる
【ポイント】
- 過度な力を入れない
- 患者様の意図を感じ取りながら誘導
介入時の重要なポイント

気をつけることは?

患者様が主体であることだよ!
外乱刺激にならない誘導
最も重要なのは、セラピストの誘導が外乱刺激にならないことです。
以下の点に注意しましょう!
- 過度な力を加えない
「動かす」のではない
患者様の動きを感じ取る - タイミングを合わせる
患者様のペースに合わせる
急がせない、待つことも大切 - 言語指示は簡潔に
「はい、そこで」「ゆっくり」程度に留める
過度な指示は混乱を招く

誘導しているつもりが、実は邪魔をしていることもあります。

患者様の表情や筋緊張を常に観察することが大切です。
成功体験を積み重ねる
- 最初は必ず成功する課題から開始
- 徐々に難易度を上げる
- 失敗しても「惜しかった」と前向きな声かけ
疲労に注意
- BrsⅡ〜Ⅲの時期は疲労しやすい
- 5〜10分程度で休憩を入れる
- 質を重視し、量は控えめに
次の治療展開
アクリルコーンでの練習が進んだら、次のステップへ移行します。
- 誘導量を減らす
肘+手 → 手のみor 肘のみ → 誘導なし
段階的に自立度を高める - より実用的な課題へ
ペグボード
積み木
日常物品の操作 - ADL動作への応用
コップを持つ動作
タオルをたたむ動作
食事動作の練習

積み木については下記のページで解説しています。参考にしてください

まとめ
アクリルコーンを使った上肢機能訓練のポイントをまとめます。
【3つの重要ポイント】
- 患者様主体の介入:誘導は最小限に、動きを引き出す
- 段階的な誘導調整:肘+手→手の or 肘のみと減らしていく
- 適切な対象者選定:BrsⅡ〜Ⅲの時期に最も効果的
アクリルコーンは、シンプルな道具ですが、使い方次第で大きな効果を生み出します。
セラピストの技術と患者様の可能性を信じて、丁寧な介入を心がけましょう。
ぜひ、明日からの臨床で試してみてください。
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よくある質問(FAQ)

現場の疑問に答えるよ!
- 誘導の力加減がわかりません
患者様の動きを「10」とすると、セラピストの力は「2〜3」程度が目安です。動きを感じ取れる最小限の接触を心がけましょう。新人の頃は力が入りすぎることが多いので、意識的に力を抜くことが大切です。
- 患者様が集中できません。
環境設定を見直しましょう。周囲の騒音、他の患者様の動き、テレビの音などが影響している可能性があります。また、課題が難しすぎる場合もあるので、より簡単な課題から始めることも検討してください。
- どのくらいの期間継続すれば良いですか?
個人差はありますが、2〜4週間程度で変化が見られることが多いです。ただし、アクリルコーンはあくまでも手段なので、動きの改善が見られたら、より実用的な課題へ移行することが重要です。
- 肩の痛みがある方にも有効ですか?
痛みの程度によります。無理のない可動域内で行い、痛みが増強する場合は中止してください。肩関節の角度を調整したり、肘を机に置いた状態で行うなど、工夫が必要です。
- コーンの数はどれくらい必要ですか?
最低でも5〜6個、できれば10個程度あると良いでしょう。色は3〜4色あると、認知課題も組み合わせやすくなります。100均でも購入可能です。
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