
箸の訓練って難しそうです…

お手玉を使えば楽しくできるよ!

箸とお手玉の組み合わせ?

段階的に練習できて効果的なんだ!
日本人にとって箸操作は、食事の自立に欠かせない動作ですよね。
でも、「いきなり食べ物で練習するのは難しい」と感じることも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、お手玉を使った箸操作へのアプローチ方法を徹底解説します。
結論:段階的な箸操作訓練で、食事動作に必要な巧緻性と力のコントロールを安全に習得できる。
つつく→動かす→ひっくり返す→つまむ、という段階を踏むことで、確実な箸操作の獲得を目指します。
なぜ、箸操作訓練にお手玉なのか?

なぜお手玉なんですか?

理想的な練習道具なんだよ!
お手玉を使用する理由は以下の4つです。
適度な重さと大きさ
お手玉は40〜60g程度の重さで、箸で扱うのに最適です。
軽すぎず重すぎない重量は、力加減の学習に適しています。
また、大きさも箸でつかみやすく、初心者にも扱いやすいサイズです。
失敗しても問題ない
食べ物と違って、落としても汚れない・もったいなくないのが大きな利点です。
何度でも繰り返し練習でき、失敗を恐れる必要がありません。
患者様もリラックスして取り組めます。
中身の感触がフィードバックになる
お手玉の中の小豆や数珠玉が動く感覚は、箸先の感覚を養うのに最適です。
「ジャラジャラ」という音や振動が、把持の強さを教えてくれます。

箸でつついた時の感触と、中身が動く感覚を感じてもらうことが大切です。
段階的な難易度調整が可能
お手玉なら、つつく・動かす・ひっくり返す・つまむと段階的に難易度を上げられます。
食べ物では難しい「押す」「滑らす」といった動作も安全に練習できます。
対象となる患者様と前提条件

どんな方が対象ですか?

BrsⅤ〜Ⅵで、スプーンが使える方だよ!
主な対象者
- Brs:Ⅴ〜Ⅵ
- 手指の分離運動が十分可能
- 三指つまみが安定している
- 日常的な箸使用を目標とする方
前提条件:スプーン操作の獲得
箸操作の前に、必ずスプーン操作を獲得しておくべきです。
理由は以下の通り
- 基本的な上肢機能の確認
- 食事動作への意欲の確認
- 口元への運搬能力の評価
スプーンが使えない段階で箸に進むのは、挫折の原因になります。
自助具についての考え方
最近は便利な箸の自助具も増えていますが、以下の課題があります。
- 見た目が気になる方が多い
- 外食時に持参が必要
- 普通の箸への移行が困難
できる限り、通常の箸での操作を目指すことをお勧めします。

「一時的な手段」と考え、箸を使えることを目標にしたいですね。
ステップ1:お手玉をつつく(基礎)

まず何から始めたらいいのでしょう?

つつく動作から始めよう!
目的
- 箸先のコントロールを学ぶ
- 箸を通じた感覚入力を体験
- 基本的な箸の持ち方を定着
方法
- お手玉を机に置く
- 箸の先端でつつく
- セラピストも一緒につついて見本を示す
ポイント
- 「コンコン」とリズミカルにつつく
- お手玉の中身が動く感覚を意識
- 力を入れすぎない

初めは「お手玉の中で豆が動くのわかりますか?」と声をかけてもいいですね。
観察項目
- 箸の持ち方は正しいか
- 余分な力が入っていないか
- 狙った場所をつつけるか
ステップ2:机上でお手玉を動かす(応用)

つつけたら次は?

押して動かす練習だよ!
目的
- 箸での押す力の調整
- 方向コントロールの向上
- 持続的な力の維持
方法
- 箸の先端でお手玉を押さえる
- 机の上を滑らせるように移動
- 時計回り・反時計回りに動かす
発展練習:引っ張り合い
- セラピストと患者様でお手玉を挟んで引っ張り合う
- 適度な力加減を学ぶ
- 楽しみながら箸操作
ポイント
- お手玉が滑るように動かす
- 急がずゆっくり行う
- 円を描くように動かす
ステップ3:お手玉をひっくり返す(発展)

さらに難しい課題は?

ひっくり返す動作に挑戦しよう!
目的
- 複雑な箸操作の習得
- 手首の協調運動
- 実用的な動作への準備
方法
- 箸をお手玉の下に滑り込ませる
- 箸の上にお手玉を乗せる
- 「エイッ」とひっくり返す
ポイント
- 最初はゆっくり行う
- お手玉の重さを感じる
- 手首の返しを使う
注意点
- 力みすぎない
- お手玉が飛ばないよう注意
- 失敗を恐れない

「お好み焼きをひっくり返す」イメージで行うと、スムーズになります。
ステップ4:お手玉をつまむ(実用)

最終段階は?

つまむ練習だよ!
目的
- 実際の食事動作に近い操作
- つまむ力の調整
- 持ち上げる動作の習得
方法
- お手玉の端をつまむ
- ゆっくり持ち上げる
- 別の場所に移動
難易度調整
- 最初は大きめのお手玉から
- 徐々に小さいものへ
- 最終的に豆などの小物へ
成功のコツ
- 箸の先端1/3を使う
- やさしくつまむ
- 急がない
実際の食事への移行

食事につなげるには?

段階的に食べ物に移行しよう!
移行の順序
- 大きめの食材から
唐揚げ、ブロッコリー
つまみやすく落としても影響少ない - 中サイズの食材
煮物、焼き魚
適度な硬さがあるもの - 小さい・滑りやすい食材
豆、こんにゃく(最も難易度が高い)
食事場面での注意
- 時間に余裕を持つ
- こぼしても良い環境を作る
- 必要に応じてスプーンも併用

実際の食事場面での評価はマストです!
訓練のポイントと工夫
環境設定
- 滑り止めマットを使用
- 適切な高さの机と椅子
- 十分な明るさ
箸の選び方
- 長さ:手の大きさに合わせて
- 材質:滑りにくい木製や竹製
- 重さ:軽すぎないもの
モチベーション維持
- できたことを褒める
- 小さな進歩も認める
- 楽しい雰囲気を作る
まとめ
箸を使った上肢機能訓練のポイントをまとめます。
【3つの重要ポイント】
- 段階的アプローチ:つつく→動かす→ひっくり返す→つまむ
- お手玉の活用:安全で効果的な練習が可能
- 感覚を重視:触覚・聴覚フィードバックを活用
箸操作は日本の食文化に欠かせない動作です。
お手玉を使った練習で、楽しみながら確実に習得していきましょう。
ぜひ、明日からの臨床で試してみてください。
よくある質問(FAQ)

よくある質問を教えて!

実際の疑問に答えるよ!
- どんな箸が練習に適していますか?
病院の食事の際に出てくる箸で大丈夫です。もしくは、患者さんが自宅で使用している箸を聴取して似たようなものを使っても良いでしょう。
- 利き手交換で箸を使う場合の工夫は?
非利き手での箸操作は非常に難しいため、まずは補助箸から始めることをお勧めします。お手玉練習も通常より長期間必要です。実用性を考え、スプーン・フォークとの併用も検討しましょう。
- どのくらいの期間で食事に使えるようになりますか?
個人差が大きいですが、毎日15分程度練習して2〜4週間でお手玉の基本操作ができるようになります。実際の食事で使えるまでは、さらに2〜4週間程度必要なことが多いです。しかし完全に獲得できるようになるには根気強く患者本人も努力をしなければいけません。
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