手指へ介入する上で、どういった上肢機能訓練をして良いか分からない。
新聞紙でアプローチすると、手指機能の向上に繋がりやすいよ!
手指の機能向上を図る際に徒手だけで介入をしていませんか?
もちろん一概に良くないとは言えません。
しかし、徒手での介入に加えて活動場面でアプローチすることで、より大きな成果を生むことになりますよ。
そこで今回は、新聞紙で手指に介入する方法を記事内で解説します。
結論:新聞紙での介入により「つまむ」「握る」を行えて、ADL訓練へと汎化しやすくなる。
新聞紙での介入は、手の内在筋にアプローチしやすいです。
(使い方によって座位バランスの向上を目的に介入することも可能ですが、本記事では手指機能へのアプローチを目的として解説します。)
OTまこまる(@OT_MAKO)
●転職回数:2回
●病院や老健、デイサービスに従事した経験あり
●学会発表、勉強会への参加したことをもとに発信
なぜ、新聞紙を使うのか?
ここでは、いろんな道具がある中で「なぜ新聞紙を使って介入するのか?」を解説します。
ここで解説することとして以下の3つです。
- 使い方が多様
- 無料で手に入れることができる
- 誰でも馴染み深いもの
- 失敗体験になりにくい
使い方が多様
新聞紙は使い方が多様です。
新聞紙を治療で使う上で以下の使い方があります。
- 丸める
- 広げる
- ちぎる
一つの道具でこれだけ使い道があるのは、なかなかありません。
新聞紙一つあるだけで、患者様の手指の治療効果を出しやすい背景には、使い道が多様なことも挙げられます。
治療場面だけでなく、デイサービスでは新聞紙を丸めてカゴを作る方もいました。
新聞紙を丸めて作るカゴは、退院後の自主訓練として行うことができます。
高齢の女性は、自分が一生懸命作ったものを誰かにあげて使ってもらうことが好きな方もいます。
そう言った方には新聞紙でカゴを作る作業を提供することはおすすめです。
しかし、手指機能がある程度高い方でないとできないため、セラピストの判断は必要です。
無料で手に入れることができる
読み終わった新聞紙は捨てる方が多いです。
例えば、以下の場所で手に入れることができます。
- 実家
- 患者様の読み終わったもの
- 売店
自分の実家で読みおわった新聞紙は、全て捨てていました。
そこで、患者様の治療で使うことを目的にもらうことを伝えると両親も処分する手間が省けて喜んでいました。
また、入院中の患者様の中には毎日、新聞を読んでいる人もいます。
そう言った方の読み終わったものを使って手指へのアプローチすることも良いです。
しかし、後で「勝手に使われた」とならないように注意が必要です。
売店で売っている新聞は、発売日に売れないことがあります。
そのような新聞紙は、ゴミとなるため処分するしかありません。
このように、新聞紙は無料で手に入れやすいことがわかります。
誰でも馴染み深いもの
誰でも一度は、新聞紙を手に持ち広げたことがあるはずです。
さらに、小さい頃ぐしゃぐしゃに丸めたり、ちぎったりした経験がある方も多いのではないでしょうか?
昔、遊び道具としても使ったことがある新聞紙は誰でも馴染み深いものであることは間違いありません。
そのため、ある程度どのように使うか予測しながら作業活動に取り組むことができます。
失敗体験になりにくい
新聞紙で行う作業は失敗しにくいです。
もちろん、課題の設定の仕方によっては失敗になりますが、「丸める」や「広げる」では失敗することはありません。
失敗がない作業というのは、成功も分かりにくくなるため、対象者にとって作業に面白みを見出すことが難しくなります。
そのため、単純な「作業」にもなりかねないため注意が必要です。
どこにアプローチする?
手の内在筋にアプローチします。
もちろん手にアプローチすると言うことは上肢へのアプローチも可能です。
手内在筋は、「握る」や「つまむ」に作用します。
そのため、ADL場面でスプーンを握ったり、机上のものに手を伸ばしてつまんだりするためにもアプローチは必須です。
では、どうやって新聞紙でアプローチをすれば良いのでしょうか?
以下で解説していきます。
新聞紙を使ってどうやって介入するの?
新聞紙を使った介入方法は以下の3つです。
- 丸める
- 広げる
- ちぎる
ここからは、新聞紙を使って介入する際にどうやって行うべきか?や注意するポイントを解説します。
新聞紙を使った介入方法その1:丸める
新聞紙を丸める際には、両手で丸めます。
以下のように両手で丸めて、最後に「ぎゅーーー」と両手で握り締めます。
これは手全体の出力を求めたい時に僕は行います。
例えば、手は動くけど可動域制限があって動きにくい方や手指の力が少し弱い方には一緒に行うことで改善する場合もあります。
新聞紙を使った介入方法その2:広げる
新聞紙を丸めると、次に広げなければいけません。
以下の矢印ように、前・斜め・横に広げていきます。
まずは横に向かって、
次は斜めに
最後は、前に向かって
初めに手の内在筋へのアプローチを行うと言いながらも、こちらは外在筋がメインになるかもしれません。
しかし、手指機能へのアプローチという点では変わりありません。
手指を伸展位に保持した状態で新聞紙の上を滑らせていく必要があります。
三頭筋や広背筋の出力も必要となるため、Brsで言うと上肢や手指がⅡ〜Ⅲの方を対象に行うことがあります。
新聞紙を使った介入方法その3:ちぎる
ちぎる動作は、丸める・広げるとは異なり難しく、手指機能は高いレベルを必要とします。
ちぎる動作はつまんで『ビリビリ』と破っていく必要があります。
破っていくと、以下のようになります。
しかし、途中で細くなったりして、ちゃんと破れなかった場合は失敗となります。
ちぎる動作はBrsⅣ〜Ⅴの方で行います。
あまり頑張りすぎると、上肢の筋緊張を亢進してしまうので、しっかり評価を行う必要があります。
次の治療展開
新聞紙を使って手指機能の向上が見られた場合は、次にADLへの汎化を考えましょう。
例えば、細かな動作が困難であった場合は、スプーン操作や箸操作を食事場面で進めてみるのも良いでしょう。
そこで一度、評価を行い操作が難しければ、リハビリ時間に直接スプーン操作・箸操作に介入してみるのも良いかもしれません。
新聞紙を使って介入する必要がなくなった時というのは、手指機能が高まっている時だと考えています。
そのような時には、どのように日常生活で手を使えるようにしていけるか考えてみましょう。
実際のADL場面で使えるようにしてこそ、手のリハビリです。
機能面の向上は見られるけど、実際に使うとなると難しいことはよくあります。
活動場面で使う機会が少ないことが一つの理由として挙げられます。
そういったことが無いように入院中から退院後の生活を見据えて介入していきましょう。
まとめ
新聞紙は両手動作ということが1番の肝です。
両側の上肢や手が動きにくい方にとっては、かなり効果的な場面を作り出せるかもしれません。
また、本記事内では解説していませんが誘導有り・誘導無しのどちらでも介入することができます。
例えばですが、以下のように行うことがあります。
始めは上肢や手を把持して誘導を行います。
数回行い、変化が見られて誘導がなくても行えると考えた時には誘導なしで行うことをお勧めします。
上肢・手の機能向上に伴い誘導無しで介入できなければ、いつまで経っても機能の向上は望めません。
さらに、介入する側が邪魔をしてしまうこともあります。
ですから、そこの見極めもかなり大事になってくるので注意が必要になります。
ぜひ、上記したことを明日からの臨床に役立てられることを祈っています。
また、質問等はまこまる公式LINEで受付けています。
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