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【リハビリ】お手玉で手指機能を改善する実践的リハビリ方法

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お手玉を使って上肢機能にアプローチしよう!のサムネイルです
なやむ君

手指リハビリで楽しくできる道具ないですか?

まこまる

お手玉がすごく効果的だよ!

なやむ君

お手玉は遊び道具じゃないの?

まこまる

実は手指機能訓練の優等生なんだ!

手指機能訓練で、楽しさと効果を両立させたいと思ったことはありませんか?

機能訓練というと、どうしても「訓練」感が強くなってしまいます。

また、患者様のモチベーション維持に苦労することも多いですよね。

そこで今回は、誰もが一度は触れたことがある「お手玉」を使った手指機能へのアプローチ方法を徹底解説します。

結論:お手玉は、楽しみながら「握る・離す・操作する」の3要素を鍛え、ADL訓練の前段階として活用できる。

お手玉での介入は、感覚フィードバックを活用しながら手の内在筋・外在筋にバランスよくアプローチできます。

(本記事では手指機能向上を主目的としますが、座位バランスや上肢の協調性訓練にも応用可能です)

目次

なぜ、お手玉がリハビリに最適なのか?

なやむ君

他の道具と何が違うんですか?

まこまる

お手玉には特別な理由があるんだよ!

ここでは、数ある道具の中で「なぜお手玉を選ぶべきなのか」を解説します。

お手玉がリハビリに最適な理由は以下の4つです。

手に馴染みやすく握りやすい形状

お手玉は、布製で柔らかく、手のひらにフィットする大きさです。

ボールと違って完全な球体ではないため、握力が弱い方でも保持しやすいのが特徴です。

また、布の素材感が手掌の感覚受容器を刺激し、触覚フィードバックを得やすくなります。

昔遊んだ記憶が動機づけになる

特に高齢の方にとって、お手玉は「懐かしい遊び道具」です。

子どもの頃に遊んだ記憶がよみがえり、自然と笑顔になる方が多くいらっしゃいます。

このポジティブな感情が、リハビリへの意欲向上につながるんです。

なやむ君

確かに「遊び」感覚でできそう!

まこまる

そう!構えずに参加してくれるんだ。

重さと感触が絶妙で感覚フィードバックを得やすい

お手玉の重さは約40〜60g程度。この適度な重さが、手に「持っている感覚」をしっかり与えてくれます。

中身の小豆や数珠玉が「シャラシャラ」と動くことで、握った時の変化を手のひらで感じやすくなります。

例えば、ボールは握っても中身が動きませんが、お手玉なら握る強さによって中身の動きが変わります。

この動きの変化を感じ取る練習が、手の感覚を鍛えることにつながるんです。

失敗しても安全で何度でも挑戦できる

お手玉は落としても音が小さく、周りに迷惑をかけません。

また、柔らかいため床や体に当たっても痛くないという安全性があります。

失敗を恐れずに何度でも挑戦できる環境を作れるのは、大きなメリットです。

お手玉でアプローチできる手指機能とは?

なやむ君

具体的にどんな機能が改善するの?

まこまる

実は幅広い機能にアプローチできるんだ!

お手玉を使った訓練では、以下の4つの手指機能にアプローチすることができます。

把握動作(握る・離す)のコントロール

手指の基本動作である「握る」「離す」の両方を訓練できます。

まだ随意性が低い患者様でも、総指握りを行っていくことで手内在筋の筋活動は高まります。

単純なグー・パーの運動だけを行うよりは、随意性を高めるため必須の動きが必要になってきます。

手指の協調性と巧緻性

お手玉を操作する際は、母指と他の4指の協調的な動きが必要です。

これにより、つまみ動作や対立動作の改善にもつながります。

特にお手玉の使用に関しては手指一本一本ののコントロールが必要になるため、単純な手指の機能訓練以上の効果が期待できます。

手掌内操作

お手玉を手の中で転がしたり、位置を調整したりする動作は、手掌内での操作能力の向上に直結します。

初めはどうしても意識的にお手玉の操作を行ってしまう方が多いです。

だんだん慣れや随意性の向上に伴い、無意識下でも行えるようになってくることで、手の機能向上が望めるようになってきます。

体性感覚の促通

お手玉の布の感触、中身の動き、重さなど、多様な感覚刺激を同時に受けることができます。

感覚障害がある方にとって、効果的な感覚再教育ツールとなります。

お手玉を使った段階的介入方法

なやむ君

実際どうやって使うんですか?

まこまる

段階的にレベルアップできるよ!

基本の握り・離し訓練

【対象】

  • Brs:Ⅱ〜Ⅳ
  • 手内在筋を高めたい方
    (簡単にいうと、手の力を強くしたい方)

【方法】

  • いくつ握れるかチャレンジ
    机に置いたおてだまを手で一つづつ握っていきます。
    ※背臥位で行う場合は、肩関節屈曲90°で肘は伸展位で行うようにしましょう。
    また背臥位で行う場合は、患者様の体の横に置いたお手玉を非麻痺側でとって麻痺側に握らせてもらうことをしても良いでしょう。
  • 握った状態での手首の運動
    お手玉を握ったまま、手首を回してもらいます
    「セラピストに見せるように」と促すことで、前腕の回内外運動も同時に行えます
  • 1つずつ離す練習
    患者様に「1つづつ離してください」と指示するのですが、初めはもちろん難しいです。
    患者様の性格や精神状態にもよりますが、なるべく1つづつは強調してください。
まこまる

姿勢が不安定な方は、臥位から始めるのがおすすめですよ。

筋緊張が高い方への介入

【対象】

  • 手指の筋緊張が高く、自動運動が困難な方
  • Brs:Ⅰ〜Ⅱ

【方法】

他動的にお手玉をいくつか握ってもらう

  • セラピストが患者様の手掌内にお手玉をいくつか入れて握ってもらいます
  • その後、お手玉をゆっくりと引っ張り、手掌内をすり抜けるようにします
なやむ君

筋緊張が高くてお手玉を握ってもらうことが難しい…

まこまる

その場合は、手関節を屈曲位にすると、手が開くので握らせやすくなります。

両手でのキャッチボール

【対象】

  • Brs:Ⅳ〜Ⅴ
  • 両手の協調性を高めたい方

【方法】

  • 近距離から始める
    最初は手と手の距離を20cm程度にして行います。
    成功体験を積み重ねることが大切です。
  • リズムをつけて行う
    「いち、にー、いち、にー」とリズムをつけることで、動作の円滑性が向上します
  • 徐々に両手の距離を広げる。
    慣れてきたら、少しづつ距離を広げていきます。

ADLへの汎化〜お手玉訓練をどう活かすか〜

なやむ君

これってADLにどう繋がるの?

まこまる

具体例を見てみよう!

食事動作への応用

お手玉の「握る・離す」動作や手関節・肘・肩の協調的な動きはは、スプーンや箸の操作に直結します。

特に、力加減のコントロールが必要な箸操作では、お手玉訓練で培った巧緻性が活きてきます。

整容動作への応用

歯ブラシを持つ、髭剃りを操作する、化粧道具を扱うなど、適切な把握力の調整が必要な場面で、お手玉訓練の効果が発揮されます。

次の治療展開

お手玉訓練で手指機能の向上が見られたら、次のステップに進みましょう。

  • 実際のADL場面での評価
    →食事・更衣・整容動作の実際の場面を評価
    →できそうな動作から段階的に介入
  • 自主訓練としてプログラムを作成
    →お手玉は自宅でも継続して取り組める
    →家族にも指導して、一緒に楽しんでもらう
  • より高度な作業活動へ移行
    →編み物、折り紙、調理など、レベルによって趣味活動へ展開

まとめ

お手玉を使った手指機能訓練のポイントをまとめます。

【3つの重要ポイント】

  • 楽しみながら機能向上:懐かしい遊び道具で動機づけを高める
  • 段階的な難易度調整:握る個数や操作方法で幅広くカバー
  • ADLへの直接的な汎化:日常生活動作に必要な要素を網羅

お手玉は、単なる遊び道具ではなく、超・超・優れたリハビリツールです。

患者様の笑顔を引き出しながら、確実に機能向上を図ることができる。

これがお手玉訓練の最大の魅力です。

ぜひ、明日からの臨床で試してみてください。

よくある質問(FAQ)

まこまる

ここからは 現場の疑問に答えるよ!

Q1. お手玉の中身は何が良いですか?

小豆が最もおすすめです。適度な重さと動きがあり、感覚フィードバックを得やすいからです。

ただし、アレルギーがある方には、お手玉を使用せず他の道具でアプローチすることを検討しましょう。

また、お手玉の布は、ある程度の余裕を持ったものが良いです。

本記事のサムネイルに載っているお手玉はおすすめしません。

市販のお手玉と手作り、どちらが良いですか?

市販品で十分です。100均でも購入でき、衛生面でも安心です。ただし、大きさや重さを調整したい場合は、手作りも選択肢になります。

認知症の方にも使うことは可能ですか?

はい、使えます。むしろ、懐かしい記憶を呼び起こすきっかけになることが多く、回想法としても活用できます。

ただし、異食のリスクがある方には注意が必要です。

お手玉訓練の頻度はどのくらいが良いですか?

疼痛の誘発に注意しながら行うことができれば、いくらしても良いと思います。

しかし、患者様の集中度等を配慮して行う必要があるため、長くても20分程度でしょう。

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