介護保険がまるわかりリハビリ加算なび

デイケアで行うレクリエーションまとめ|現場で使える実践例30選

当ページのリンクには広告が含まれています。
レクリエーションをまとめた記事のサムネイルです。

「明日は何をしようかな…」とレクリエーションに悩んでいませんか?

マンネリ化したプログラムに利用者様の反応も今ひとつ。

でも大丈夫です。

本記事では、10年以上作業療法士として働いた経験から、明日から使える実践的なレクリエーション30選と効果的な実施方法をまとめました。

この記事を読めば、利用者様の笑顔が増え、機能改善にもつながるレクリエーションが必ず見つかります。

目次

デイケアでレクリエーションが求められる理由

デイケアにおけるレクリエーションは、単なる時間つぶしではありません。

厚生労働省の「介護予防マニュアル」(2024年改訂版)によると、適切なレクリエーション活動は以下の3つの重要な効果をもたらします。

1. ADL(日常生活動作)の維持・向上

レクリエーションを通じた身体活動は、筋力や関節可動域の維持に直結します。

例えば、ボール体操で上肢機能を維持することで、食事動作の自立度が保たれます。

週3回以上の運動系レクリエーション参加者は、非参加者と比較して転倒リスクが約30%低下するというデータもあります(厚生労働省, 2024)。

2. 認知症予防・進行抑制

脳トレや創作活動は、前頭葉機能を活性化させ、認知機能の維持に貢献します。

特に、他者との交流を伴うレクリエーションは、言語機能や記憶力の維持に効果的です。

認知症予防には「楽しみながら続けられる」ことが最も重要で、レクリエーションはその条件を満たす理想的な介入方法といえます。

3. 社会参加の促進

デイケアは在宅高齢者にとって貴重な社会参加の場です。

レクリエーションを通じて他の利用者やスタッフと交流することで、孤立感が軽減され、生活の質(QOL)が向上します。

地域ボランティアとの交流レクなどは、より広い社会とのつながりを生み出す効果もあります。

レクリエーション選定のポイント3つ

効果的なレクリエーションを実施するには、事前の準備と適切な選定が不可欠です。

以下の3つのポイントを押さえましょう。

1. 利用者の身体・認知レベルの把握

レベル身体機能認知機能適したレクリエーション
軽度独歩可能、ADL自立MMSE 24点以上スポーツ系、競技性の高いゲーム
中等度歩行器使用、一部介助MMSE 18-23点座位でのゲーム、簡単な創作
重度車椅子、全介助MMSE 17点以下感覚刺激、個別対応レク

2. 季節行事・地域性の考慮

季節感のあるレクリエーションは、見当識の維持にも効果的です。

例えば、春は桜の壁画制作、夏は盆踊り、秋は紅葉狩りゲーム、冬は餅つき体験(模擬)など。

地域の祭りや伝統行事を取り入れることで、回想法の効果も期待できます。

3. 安全管理の徹底

転倒予防チェックリスト

  • [ ] 床に障害物がないか確認
  • [ ] 滑り止めマットの設置
  • [ ] 適切な靴の着用確認
  • [ ] スタッフの配置(利用者5名に1名以上)
  • [ ] 緊急時の連絡体制確認

誤嚥予防チェックリスト

  • [ ] 飲食を伴う場合は嚥下機能を事前評価
  • [ ] とろみ剤の準備
  • [ ] 姿勢の確認(90度座位)
  • [ ] 小さく切った食材の用意
  • [ ] 吸引器の位置確認

定番レクリエーション実践例【身体機能系】

1. ボール体操(上肢・体幹ストレッチ)

項目内容
準備物ゴムボール(直径20cm)、椅子、BGM
手順1. 円形に椅子を配置
2. ボールを両手で持ち上げ下げ(10回)
3. 左右への体幹回旋(各10回)
4. 隣の人へパス
リスク上半身(肩・頚椎・胸椎・腰椎)の既往疾患がある方は疼痛の誘発に注意!
ポイント呼吸を止めないよう声かけ。音楽でリズムをつける

2. タオル体操(肩可動域拡大)

項目内容
準備物フェイスタオル人数分、椅子
手順1. タオルの両端を持つ
2. 前方挙上→頭上→背中へ
3. 左右のストレッチ
4. タオルを絞る動作
リスク肩関節に既往疾患のある方は無理をしない
ポイント個人のペースを尊重。痛みがあれば中止

3. ペットボトルボウリング(下肢筋力アップ)

項目内容
準備物500mlペットボトル10本、ボール、マスキングテープ
手順1. ペットボトルをピン状に配置
2. 3m離れた位置から投球
3. 立位または座位で実施
4. 得点を記録
リスク立位時のふらつき、前傾姿勢での転倒
ポイント必ず職員が横に付き添う。競争より参加を重視

4. リズムステップ(音楽療法 × 有酸素運動)

項目内容
準備物音響機器、懐メロCD、滑り止めマット
手順1. 座位で足踏みから開始
2. 音楽に合わせて左右ステップ
3. 手拍子を追加
4. 可能な方は立位で実施
リスクめまい・バランス低下による転倒に注意
ポイント脈拍確認。水分補給の声かけ。個別対応を重視

5. イス上バランスゲーム

項目内容
準備物安定した椅子、お手玉、カゴ
手順1. 椅子に深く腰掛ける
2. お手玉を頭に乗せてバランス
3. そのまま10秒キープ
4. 慣れたら軽く体を動かす
リスク座位バランス不良者の転落に注意!
ポイント必ず背もたれ付き椅子使用。楽しい雰囲気作り

6. 風船バレー(全身運動)

項目内容
準備物風船数個、椅子、ネット代わりの紐
手順1. 2チームに分かれて座位で対戦
2. 風船を相手コートに返す
3. 床に落ちたら相手の得点
4. 5点先取で交代
リスク過度な前傾での転倒に注意!
ポイントゆっくりした動きの風船で反応時間を確保

7. 輪投げ(目と手の協調性)

項目内容
準備物輪投げセット、得点板
手順1. 2m離れた位置から投げる
2. 色別に得点を設定
3. 5投ずつ交代
4. 合計得点を競う
リスク前のめりでの転倒
ポイント座位でも立位でも可。距離は能力に応じて調整

8. ラジオ体操(全身運動)

項目内容
準備物ラジオ体操のCD、椅子
手順1. 座位版にアレンジ
2. できる範囲で動作
3. 呼吸を意識
4. 第一のみから開始
リスク急な動作での筋肉痛、関節痛
ポイント馴染みがあり参加しやすい。毎朝の日課にも最適

頭と心を動かすレクリエーション【認知・創作系】

9. 季節の壁面アート(共同制作)

グループで大きな壁面装飾を作ることで、達成感と一体感が生まれます。

春は桜、夏は花火、秋は紅葉、冬は雪だるまなど、季節に応じたテーマを設定。

折り紙、色紙、綿などを使い、各自ができる範囲で参加します。

認知症重度者向けアレンジ

シール貼りや、ちぎり絵など単純作業に変更。

完成よりも過程を楽しむことを重視。

10. 回想法クイズ(昭和歌謡・写真)

昔の写真や歌謡曲を使ったクイズは、長期記憶を刺激し、会話のきっかけになります。

「この歌手は誰でしょう?」「この建物はどこでしょう?」など、利用者の年代に合わせた出題を心がけます。

認知症重度者向けアレンジ

正解を求めず、「この歌を聴いてどんな気持ちになりますか?」など感情に焦点を当てた問いかけに変更。

11. 脳トレ計算リレー

簡単な計算問題をリレー形式で解いていきます。

「10+5=?」「次の人は15+3=?」というように、前の人の答えを使って計算を続けます。

難易度は参加者に合わせて調整可能です。

認知症重度者向けアレンジ

数字カードを使った神経衰弱や、1から10までの数え歌など、より簡単な数字遊びに変更。

12. 俳句・川柳タイム

季節の題材で俳句や川柳を作ります。五・七・五のリズムは覚えやすく、言語機能の維持にも効果的です。

「今日の給食」「窓から見える景色」など、身近なテーマから始めると取り組みやすくなります。

認知症重度者向けアレンジ

穴埋め形式「桜が○○○」や、みんなで一文字ずつ言葉をつなげる連想ゲームに変更。

13. デジタル塗り絵アプリ活用

タブレットを使用したデジタル塗り絵は、手の震えがある方でも楽しめます。

拡大機能で細部も見やすく、やり直しも簡単。

完成作品は印刷して展示することで、達成感も得られます。

認知症重度者向けアレンジ

職員が一緒に操作をサポート。

色選びだけでも参加とし、「きれいですね」と感情を共有。

14. しりとり(言語機能訓練)

定番の言葉遊びですが、テーマを決めると難易度調整ができます。

「食べ物しりとり」「3文字しりとり」など、ルールを工夫することで、様々なレベルの方が参加できます。

15. 間違い探し(注意機能訓練)

2枚の絵を見比べて違いを探す活動は、注意力と集中力を養います。市販の間違い探し本や、職員手作りの写真を使うことも可能です。難易度は違いの数で調整できます。

16. ビンゴゲーム(社会性・認知機能)

数字だけでなく、「好きな食べ物」「行ったことがある場所」などテーマ別ビンゴも楽しめます。

カードを自分で作ることで、より能動的な参加を促せます。

社会性を高めるレクリエーション【交流・役割系】

17. 園児合同イベント

近隣の保育園・幼稚園との交流会は、利用者に「教える」「見守る」という役割を提供します。

昔遊び(お手玉、あやとり、折り紙)を園児に教えたり、一緒に歌を歌ったりすることで、世代間交流が生まれます。

18. 地域ボランティア交流

地域の音楽サークル、手品クラブ、民謡保存会などを招いての交流会。

受け身の鑑賞だけでなく、一緒に参加できるプログラムを組むことで、社会とのつながりを実感できます。

19. 買い物ゲーム

仮想商店街を作り、おもちゃのお金で買い物体験。

値段を計算したり、おつりをもらったりすることで、認知機能と社会性の両方を刺激します。

店員役と客役を交代で行うことで、役割体験もできます。

20. 茶話会司会体験

月1回の茶話会で、利用者が交代で司会を務めます。

「今月の誕生日の方を紹介します」「今日のお茶菓子は○○です」など、簡単な進行から始めます。

人前で話す機会は自信回復にもつながります。

21. カラオケ大会

歌うことは呼吸機能の維持にも効果的です。

マイクを持つことで主役感を味わえ、他者の歌を聴くことで共感性も育まれます。

歌詞カードの文字を追うことは、視覚追従訓練にもなります。

22. 調理レク(役割分担・協働作業)

簡単なおやつ作りは、五感を刺激し、役割分担の練習になります。

ホットケーキ、白玉団子、フルーツポンチなど、火を使わないメニューから始めると安全です。

感覚刺激・リラクゼーション系レクリエーション

23. アロマテラピー(嗅覚刺激)

ラベンダー、ペパーミント、柑橘系など、季節や時間帯に応じた香りを楽しみます。

記憶と結びつきやすい嗅覚刺激は、回想法のきっかけにもなります。

24. ハンドマッサージ(触覚刺激・リラクゼーション)

職員や利用者同士でのハンドマッサージは、スキンシップによる安心感をもたらします。

保湿クリームを使用することで、皮膚の乾燥予防にも効果的です。

25. 音楽鑑賞会(聴覚刺激・情動安定)

懐かしの歌謡曲、クラシック、民謡など、利用者の好みに応じた音楽を聴く時間。

歌詞カードを見ながら口ずさむことで、言語機能の維持にもつながります。

26. ペットセラピー(多感覚刺激)

訓練された動物との触れ合いは、情動の安定と社会性の向上に効果的です。

アレルギーや恐怖心の有無を事前に確認し、小動物から始めるのが安全です。

季節・年中行事系レクリエーション

27. 節分豆まき(2月)

新聞紙を丸めた豆で豆まきを行います。「鬼は外、福は内」の掛け声は、発声訓練にもなります。

職員が鬼役を演じることで、笑いも生まれます。

28. 七夕飾り作り(7月)

短冊に願い事を書き、笹に飾ります。字が書けない方は、職員が代筆したり、シールで飾り付けたりします。願い事を考えることは、前向きな気持ちを引き出します。

29. 運動会(10月)

玉入れ、パン食い競争(座位版)、応援合戦など、安全に配慮したプログラムで実施。

紅白に分かれることで、団結力と競争心を適度に刺激します。

30. クリスマス会(12月)

サンタクロースの衣装を着た職員からのプレゼント配布、クリスマスソングの合唱、ケーキ作りなど。

普段と違う雰囲気が、特別感を演出します。

レクリエーション準備&進行を助ける便利ツール

ツール名価格帯導入メリット備考
Bluetoothスピーカー3,000~10,000円配線不要で移動が楽。音質も良好防水タイプがおすすめ
プロジェクター20,000~50,000円大画面で見やすい。回想法に最適明るい部屋でも見える機種を
100均レク素材セット1,000~3,000円低コストで種類豊富。使い捨て可お手玉、風船、紙コップなど
脳トレプリント集2,000~5,000円個別対応可能。レベル別に用意コピー可のものを選ぶ
音楽療法CD3,000~8,000円懐メロから童謡まで幅広く収録著作権処理済みを確認

※価格は参考価格です。実際の購入時は各販売店でご確認ください。

まとめ&明日からのアクション

デイケアのレクリエーションは、単なる余暇活動ではなく、利用者の心身機能維持・向上のための重要な治療的介入です。

本記事で紹介した30種類のレクリエーションから、まずはボール体操季節の壁面アートから始めてみましょう。

この2つは準備が簡単で、幅広い利用者が参加でき、失敗のリスクも少ないためです。

レクリエーション成功の鍵は、利用者一人ひとりの「できる」を見つけ、「楽しい」を共有すること

完璧を求めず、その場の雰囲気を大切にしながら、利用者と一緒に作り上げていく姿勢が何より重要です。

明日のデイケアで、新しいレクリエーションにチャレンジしてみてください。

きっと利用者の新たな笑顔に出会えるはずです。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次