【リハビリ】ペグを使って手指機能へアプローチ!

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リハビリで行うペグトレーニングについて紹介した記事のサムネイルです。
なやむ君

ペグってどの病院にもあるけど、なんとなく使ってる人が多い気が…。

まこまる

ペグ訓練って「ただ挿すだけ」じゃもったいないんだよ。

なやむ君

もったいない、ですか?

まこまる

特に小ペグは、ほかの道具では代用できない。 指先の細かい動きを引き出すには、必須なんだ。

なやむ君

たしかに大きいペグなら、ブロックでも代わりになりそうですね。

まこまる

そういうこと! 今日は回復期で使ってきた経験をもとに解説するね。 Brs Ⅴ〜Ⅵの患者さん向けの訓練法、いってみよう!

この記事では、回復期病院で経験を積んだ作業療法士が、ペグ訓練の効果的な使い方を解説します。

「なんとなく使っていた」という人も、読み終えるころには患者さんに合わせた段階づけができるようになりますよ。

目次

ペグ訓練とは?

ペグは、リハビリ現場でよく見かける訓練道具です。

色や大きさがちがう棒(ペグ)を、穴のあいた板に挿したり抜いたりします。

シンプルな動作ですが、手指の巧緻性や目と手の協調運動を高める効果があります。

大中小の違い

ペグには大・中・小の3サイズがあります。

それぞれ求められる動作がちがうので、使い分けが大切です。

大ペグ(直径3〜4cm程度)

3指でつかむ動作を練習できます。

握りやすいので、最初のステップに向いています。

中ペグ(直径1〜2cm程度)

指腹つまみの訓練ができます。

手の中でペグを回転させる動作も練習しやすいサイズです。

小ペグ(直径5mm程度)

指先つまみ(指尖つまみ)のパターンが必要です。

集中力も求められるため、難易度は高めになります。

なやむ君

サイズでこんなに役割がちがうんですね。

まこまる

大・中ペグは、ほかの物品でも似た訓練ができる。 でも小ペグだけは代用がきかないんだ。

小ペグが必要な理由

小ペグは、指先の細かい動きを引き出すために欠かせません。

なぜなら、直径5mm程度の小さな物をつまむには、指尖つまみが必要だからです。

指尖つまみとは、親指と人差し指の先端だけで物をつまむ動作のこと。

ボタンをとめる、小銭をつまむなど、日常生活で頻繁に使う動作ですね。

この動作を練習するには、小ペグのサイズ感がちょうどいいのです。

大きな物では指腹で支えてしまい、指先だけを使う練習になりません。

だからこそ、小ペグでしか得られない巧緻動作があるといえます。

対象者の選び方

ペグ訓練は、すべての患者さんに適しているわけではありません。

対象を見きわめることで、効果的な訓練につながります。

Brs Ⅴ〜Ⅵが目安

僕は、ペグ訓練は手指のBrs Ⅴ〜Ⅵの方を対象にしていました。

手指のBrs Ⅴでは…

  • 対向つまみができる
  • 随意的に指を伸ばせる
  • 円柱や球を握れる

手指のBrs Ⅵでは…

  • Ⅴまでの動作に加えて
  • 個別の手指運動が可能

つまり、分離運動がある程度できる段階でペグ訓練を導入していました。

Brs Ⅳ以下の方には、まず握る・離すの基本動作から練習することが多かったです。

なやむ君

Brs Ⅴ〜Ⅵの段階でペグを使うんですか?

まこまる

小ペグを用いたペグ訓練って、実は難易度が高いんだよ。 指先でつまんで、狙った穴に挿す。 これには分離した指の動き目と手の協調が必要なんだ。

なやむ君

たしかに、握ることしかできない段階だと難しそうですね。

まこまる

だから対象者の見きわめが大事なんだよ。

回復期での活用場面

回復期病院では、ペグ訓練をこんな場面で使っていました。

巧緻性の向上を目指すとき』

ボタンや箸など、細かい動作の準備段階として活用。

『集中力を高めたいとき』

小さなペグを扱う作業は、注意の持続を促します。

達成感を味わってもらうとき

時間を計測して記録すると、回復の実感につながります。

特に「以前より速くできた」という体験は、患者さんのモチベーションを高めます。

基本の訓練方法

ここからは、具体的な訓練方法を紹介します。

ポイントは段階的に難易度を上げること。

いきなり難しい課題を出すと、患者さんの自信を損なってしまいます。

1本ずつが基本

まずは1本ずつ取って、1本ずつ挿す。これが基本です。

この動作でも、以下の要素が含まれています。

  • ペグをつまむ(指先の巧緻性)
  • 穴の位置を確認する(視覚認知)
  • 狙った場所に挿す(目と手の協調)

シンプルに見えて、実は複合的な動作なんですね。

最初は大きめのペグから始めて、慣れてきたら小ペグに移行します。

なやむ君

1本ずつって、当たり前のことに思えますけど…。

まこまる

この「基本の動作を丁寧にやる」ことが大事なんだ。

複数本で難易度UP

基本動作ができるようになったら、次のステップへ進みます。

それが複数本を持った状態で、1本ずつ挿すという方法です。

やり方は以下のとおり。

  • まず2〜3本のペグをまとめて手に取る
  • 手のひらの中で1本だけを指先に移動させる
  • その1本を穴に挿す
  • 残りのペグも同様に1本ずつ挿していく

この訓練では、手の中での物品操作(インハンドマニピュレーション)を促せます。

なやむ君

手の中でペグを動かすって、けっこう難しそうですね。

まこまる

2本、3本、4本と増やすほど、手のひらの中の動きが複雑になる。 日常生活でも「複数の物を持ちながら作業する」場面は多いよね。

なやむ君

たしかに、小銭を数えるときとか似た動きをしてますね。

まこまる

だからこの訓練は、実生活の動作にもつながりやすいんだよ。

具体的な進め方としては、こんな段階づけがおすすめです。

ステップ1:2本持って1本ずつ挿す

まずは2本から。手の中での持ち替えに慣れてもらいます。

ステップ2:3本に増やす

中指・薬指で残りのペグを保持する動きが加わります。

ステップ3:4本以上に挑戦

難易度が一気に上がります。

手のひら全体を使った繊細なコントロールが必要です。

患者さんの様子を見ながら、無理のないペースで進めましょう。

訓練の注意点3つ

ペグ訓練を行うとき、気をつけたいポイントを3つ紹介します。

① 対象者を見きわめる

前述のとおり、ペグ訓練は難易度が高めです。

Brs Ⅳ以下の方には、握る・離すの練習から始めましょう。

無理に小ペグを使うと、できない体験ばかりが積み重なってしまいます。

② 代償動作に注意する

肩が上がる、手首が過度に曲がるなどの代償動作が出ていないか確認しましょう。

代償動作が目立つ場合は、難易度を下げるか、姿勢を調整します。

③ 疲労に配慮する

集中力を使う訓練なので、患者さんは思った以上に疲れています。

長時間続けず、適度に休憩を入れることが大切です。

なやむ君

疲労って、見た目ではわかりにくいですよね。

まこまる

だから定期的に声をかけるのが大事だよ。 「疲れてませんか?」って聞くだけでも、患者さんは安心するからね。

まとめ

今回は、ペグを使った上肢機能訓練について解説しました。

ポイントをおさらい

  • 小ペグは指先の巧緻動作に欠かせない
  • 対象は手指Brs Ⅴ〜Ⅵが目安
  • 1本ずつ→複数本で段階的に難易度を上げる

ペグ訓練は、シンプルだからこそ奥が深い訓練です。

患者さんの状態に合わせて使いこなせば、確かな成果につながりますよ。

まこまる

どうだった、なやむ君?

なやむ君

ペグってただ挿すだけじゃないんですね。 段階づけの考え方、明日から使ってみます!

まこまる

その意気だよ! 患者さんの「できた!」を引き出していこうね。

FAQ

ペグ訓練は1日何分くらいが目安ですか?

10〜15分程度が目安です。集中力を使うため、長時間は避けましょう。患者さんの疲労度を見ながら調整してください。

小ペグが難しい場合はどうすればいいですか?

まずは大ペグや中ペグから始めましょう。無理に小ペグを使う必要はありません。段階的にサイズを小さくしていくのがおすすめです。

ペグ訓練はBrs Ⅳ以下の方には不向きですか?

必ずしも不向きではありませんが、難易度が高いため別の訓練から始めるのがよいでしょう。握る・離すの基本動作を練習してから導入すると効果的です。

Q4:ペグ訓練の効果はどれくらいで出ますか?

個人差がありますが、継続することで少しずつ改善が見られます。タイムを計測して記録すると、変化がわかりやすくなります。

自宅でもペグ訓練はできますか?

できます。市販のペグボードや子ども用の知育玩具でも代用可能です。ただし、安全面に配慮し、無理のない範囲で行いましょう。

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