ペットボトルを使ってどうやって上肢機能にアプローチすればいいの?
主に臥位でアプローチを行うよ!
普段、ペットボトルといえば飲料水を飲む際に手にするものです。
時には、飲み物が残っているにも関わらず振ったりすることもあります。
さらに、振る以外にも砂を詰めて重錘としてダンベルのように使う方も見かけます。
では、リハビリの場面ではどのように使うと良いのでしょうか?
結論:振動を伝えることができるので、手指の筋緊張が高い方にはおすすめです。
OTまこまる(@OT_MAKO)
●転職回数:2回
●病院や老健、デイサービスに従事した経験あり
●学会発表、勉強会への参加したことをもとに発信
なぜペットボトルを使うのか?
結論としてペットボトルを使う理由は以下の3点。
- 手のアーチを保持できる
- 振動を伝えやすい
- いつでも使える
僕たちは日頃、ペットボトルを握ることがありますよね。
ちょうど良いサイズで握りやすくなっています。
これは手のアーチを保持したまま、アプローチできます。
手にフィットしやすくなっており、末梢から中枢へのアプローチもしやすいです。
更に振動覚を伝えやすいのも一つの特徴です。
そもそも、「固有感覚とは?」と考えられる方もいるでしょう。
「タッチ」という本では、以下のように記載されています。
固有感覚は、筋・腱・関節および前庭にあって、身体の運動や位置についての情報を提供します。
タッチ.岩村吉晃
また同書では、固有感覚は深部感覚とほぼ同義であることも記されています。
一体なぜペットボトルを使って、振動覚を伝えることが良いのでしょうか?
確かに、電気マッサージ機を使っていることもあるもんね。
それは、振動覚が筋緊張の抑制するからです。
では、振動覚がどういった仕組みで筋緊張を抑制するのでしょうか?
以下、ネットより引用。
骨格筋の振動刺激は、脊髄内の介在神経細胞を活性化してシナプス前抑制により、筋緊張を抑制する。
とにかく「振動が筋緊張の抑制に使えるんだなぁ。」くらいに考えると、少し頭に入ってきやすいかもしれません。
最後に、ペットボトルはいつでも手に入れることができます。
自動販売機でジュースを買っても良いですし、普段の家庭ゴミの中でも空きのペットボトルはあるはずです。
その中に水を1/3程度入れるだけで、使用することができます。
例えば、以下のようなときに良いかもしれません。
- 訪問先の利用者様の自宅
- 病棟でのリハビリの際
持ち運びも負担が大きいこともなく、いつでもどこでも使えるのがペットボトルの良いところです。
どういった方にアプローチする?
僕の場合は、以下の方を対象にペットボトルを使います。
- 上肢や手指の緊張が高くなっている方
- 上肢の筋出力が弱い方
先述しているように、振動覚は筋緊張を抑制する働きがあります。
なので、手指の筋緊張を抑制するにはもってこいだと思っています。
しっかり徒手で介入することが前提にあります。
もちろん、筋緊張が高く肩や肘に制限あるのに無理やり動かして行うと痛みを誘発するリスクもあります。
そういった方は無理せず、また違う介入方法をおすすめします。
ペットボトルを使ってどうやって介入するの?
本記事で紹介するペットボトルの使い方は背臥位で使うことをおすすめします。
事前にペットボトルに半分水を入れておいてください。
肩屈曲90度で肘伸展位を保持した状態で行います。
(肘の伸展制限がある方は最大伸展位で行います)
手指は以下の写真の感じで行います。
握りにくい方には、以下のようなアシストも有効です。
抹消部の弱さをアシストしてあげるイメージです。
セラピストの親指と中指で包み込み人差し指で軽く中枢(肘・肩)に向かって圧をかけています。
この時、よりペットボトルが手に馴染むように工夫して持つように促します。
橈屈・尺屈の繰り返しを行います。
実際にうまく振ることができると「シャカシャカシャカ」と大きな音がします。
成功と失敗の一つの判断基準にしても良いかもしれません。
次の治療展開
臥位で手指の筋緊張が抑制されてくると、少し手も開きやすくなります。
しかし、座位になると筋緊張が高くなる方もいます。
そのような方には背臥位で筋緊張の抑制を行った後、座位でも手の筋緊張を調整していくことが必要となります。
例えば、タオルを使って手掌内に感覚を入れてあげたり、新聞紙を使って肩や肘の動きを促してあげるなど。
展開は様々ですが、より使える手に近づけるようにしていくことには間違いありません。
まとめ
日常生活で僕たちの生活と馴染みの深い道具であるペットボトル。
それは、時に振ったり叩いたりして小さい頃から生活の中で使うことがありました。
今回は、ペットボトルを使うことで上肢機能にどういった効果があるのか?を重点的に記事を書きました。
しかし、記事内でも書きましたが徒手での介入をしっかりした上でペットボトルを使ってください。
僕の経験上、筋短縮があるにもかかわらず、ペットボトルを使って効果が出なかったことは何度もあります。
その都度、自分のハンドリング技術の低さを味わってきたものです。
毎日の小さな積み重ねが大きな結果を生むことになります。
ぜひ、明日からの臨床で使ってみてくださいね!
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